鋼構造物をさびから守るために用いられる防錆法のなかで、溶融亜鉛めっきは最も経済的であるといわれております。そこで防錆法のなかで広く使われている塗装と溶融亜鉛めっきについて、その経済性を比較してみました。
一般に防錆の経済性について考える場合、次の二つの要素をあわせて考える必要があります。

(1)初期費用・・・・・初めにどれくらいの費用がかかるか。
(2)維持費用・・・・・保守にどれくらいの費用がかかるか。

 
初期費用
溶融亜鉛メッキは、保守にはほとんど費用がかからないが初期費用が高いというのが一般の通念になっておりました。しかし人件費の急上昇で塗装費が高騰しているのに比べて、溶融亜鉛めっきは工場で加工されるため、人件費の占める割合が少なく、費用の上昇は緩やかです。従って、最近では初期費用が塗装と同じ程度か、製品の厚さが比較的薄い場合には、むしろ溶融亜鉛めっきの方が安価になる実績も出ております。
 
維持費用
維持費に関しては、塗装は通常数年の周期で塗替えが必要であるのに比べて、溶融亜鉛めっきはほとんど補修が必要でないため、塗装のほうが高いことはいうまでもありません。
 
全費用
溶融亜鉛めっき加工費と塗装費について、初期費用の一例を表4のように算出し、これを基にして、20年間における合計費用の推移を図6に示しました。この図をみると、初期費用が高い溶融亜鉛めっき(製品の厚さ20mm)の場合でも、5年後には塗装よりも経済的となり、更に20年後の合計費用では、溶融亜鉛めっきの費用は塗装の約半分であることがわかります。ただし、この表の値は単に溶融亜鉛めっき加工費と塗装費とを比較したものですが、溶融亜鉛めっきの場合はめっきするための運搬費が加算されるのに対して、塗装の場合は足場費・養生費などが加算されます。
これらを考えると、全費用としては、溶融亜鉛めっきの方がはるかに有利であるといえます。
 
表4.溶融亜鉛めっき加工費と塗装費との比較(例)
  
溶融亜鉛めっき
塗装
厚さ5mm
厚さ7mm
厚さ12mm
厚さ20mm
例1
例2
例3
初期費用(円/m2)
1,260
1,700
2,790
3,810
3,170
4,140
6,920
塗装費用(円/m2)
0
0
0
0
1,560
2,520
0
20年間の塗装回数(回)
0
0
0
0
3
2
0
20年間の塗装費用(円/m2)
0
0
0
0
4,680
5,040
0
20年間の合計費用(円/m2)
1,260
1,700
2,790
3,810
7,850
9,180
6,920
トン当り表面積(m2/t)
51,59
36,37
21,54
13,11
トン当り単価(円/t)
65,000
62,000
60,000
50,000
塗装仕様 (例1)
ケレン2種
鉛系さび止め塗装 1層
フタル酸樹脂塗装 1層
塗り替え時ケレン3種C
(例2)
ケレン2種
鉛系さび止め塗装 2層
フェノール系M10塗装 1層
塩化ゴム系塗装 2層
塗り替え時ケレン3種B
(例3)
ケレン1種
ジンクリッチプライマー 1層
エポキシ樹脂塗装 2層
ウレタン樹脂塗装 2層
 
塗装費用は、(社)日本塗装工業会発行の塗装ハンドブック(昭和54年度版)より、溶融亜鉛めっき費用は、現行の標準加工費より積算。
 
 

図6.20年間における溶融亜鉛めっきと塗装の合計費用の比較

 
工事施工上の利点
さらに、溶融亜鉛めっきには工事施工の面で大きな利点があります。すなわち、溶融亜鉛めっき製品は風雨などに関係なくめっき加工され、天候不順の時にも工事計画に狂いを生じません。
 
優れた経済性
このように、溶融亜鉛めっきは直接的にも間接的にも経済性に優れた防錆法であることがご理解いただけたと思います。
 
 
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